課金率10%は無理ではない(と思う)
前回の記事を書く直前にアプリマーケティング研究所様の「0.1%しか課金されなかった」記事を見つけてしまいリンクを組み込んでしまいました。そのため前々回に掲げた「1割のユーザーに課金してもらう」はとても難しいと感じるかもしれません。しかし前回の例は「時間を掛ければ課金と同じ物が手に入る」類のものなので課金率が低かったのだと思います。
AppAnnieとIDCが2014年に行った調査(日本語の記事)では、無料アプリでの課金率は以下のようになっています。5%以下が大半を占めるものの6%-10%も意外と多いようです。

ちなみに私が以前リリースした有料アプリでは、無料版1621DLに対し有料版135DLなので8.3%でした。 前回の記事の最後で200DLと書きましたが、きちんと集計したら135DLでした…。すいません。
時間では得られないコンテンツへの課金
10%の方に課金して貰うための戦略は色々あると思うのですが、まずは私が「2番目に良く課金するタイプ」について説明しようと思います。私は物語性のあるコンテンツが好きなのでサイドストーリー等を得るために課金しています。過去記事の中では四つ目神のショートストーリーを購入しました。あと別途記事にする予定ですが脱出ゲーム「うつしよ」(公式ページ)の追加シナリオを購入しました。

このようなサイドストーリーは消費アイテムと異なり時間を掛けても獲得はできません。そのため課金率は上がると思うのですがコンテンツが高品質である必要があります。もしコンテンツ力に自信があるのであれば、消費アイテムよりも最終的な利益は大きくなるのではないでしょうか? これまではカジュアル感を押し出して「質より量」で攻めた方が利益を出しやすかったと思うのですが、アプリ数が益々増えていく今後は「質より量」だと量に埋もれて利益を出せなくなる(採算が合わなくなる)気がします。さらに広告単価も下がり続けていくと思いますし。
サイドコンテンツは小ボリュームでも良いと思う
消費アイテムと比べるとサイドコンテンツは工数が多くなりますが、実際は意外と小規模のコンテンツが多いです。「四つ女神」のサイドストーリーは10分もかからずに読み終えてしまう量ですし、「うつしよ」も無料パートは4章もあるのに課金パートは1章だけです。

しかし全く不満は感じませんでした。レビューにも課金者のコメントが散見されますが、不満を書き込んでいる方は見当たりませんでした。それはサイドコンテンツのみの対価として課金したのではなく、無料パートの部分も楽しめたよ「ありがとう!」という意味での課金だからだと思うのです。
ということで作家性の高い制作者さんはサイドコンテンツの課金を考えてはどうでしょうか? 個人的にそういうアプリを楽しみたいだけなんですけどね…。
ノベル系や脱出系以外でも
ここまでのサンプルは脱出ゲーム系ばかりですが、脱出ゲーム(ノベル)以外のジャンルでも物語性のあるアプリは作成可能ですから、課金コンテンツの導入を考えても良いと思うのです。以前記事にした「彼女は最後にそう言った」は課金コンテンツがあったら購入する方は多いのではないでしょうか? このアプリはRPGっぽいですが、どちらかというと脱出ゲーム系ですかね。

RPGの心鎧リコレクトも物語が良かったので、サイドコンテンツがあったら購入していたと思います。

小出しにするのが良さそう
以前記事にした「歪みの国のアリス〜アンコール」もクォリティが高く、有料のサイドコンテンツがありました。内容も盛りだくさんなのですが比較的高価だったため、悩んだ末に購入を見合わせた気がします。ちなみに私が購入したスマホゲーム(単品)で一番高価なのは「ダライアスバーストsp」の1080円です。

このアプリで840円(2016.11現在)を課金すると、下記の追加コンテンツ(追加エピソードx2、コラムx2、キャラ紹介)が楽しめます。もし、これが小分け(210円x4など)になっていたら試しに1つ購入して様子を見たかもしれません。昔はもう少し小分けに購入できた気もするのですが気のせいかな?…。

あと、課金コンテンツが最初から全て見えていると「全部揃えるには○○円か…」と悩んでしまうかもしれないので、購入する毎に課金コンテンツが追加されると良いのかもしれません。
お試し無料は難しいと思う
似たような課金に「前半は無料だけど後半は課金が必要」な「お試し無料アプリ」があります。一昨年くらいまではよく見かけ、私もマーセナリーズサーガ(記事)を購入したことがあります。しかし有料アプリは以前よりかなり避けられているような感じがあるので、実質有料のアプリは避けられるのではないでしょうか? 前述のAppAnnieの調査でも有料アプリの売上が29%減少(2012-2013)したとあります。

向かないカテゴリも
カテゴリによっては物語性は邪魔になるため、この課金は向きません。パズルゲームやアクション性の高いゲーム(弾幕も含む)は純粋にそのゲーム性が楽しいので物語は蛇足になるかもしれません。あと電車内(通勤/通学)で短時間で楽しめるキリの良いゲームにも物語性は邪魔になると思います。 PCやコンシューマ機ではパズルやアクションゲームにも大抵は物語があります。これらはじっくり時間を掛けて楽しむものなので物語があっても良いと思うのです。しかし隙間の時間に楽しむスマホのゲームとしては相性は良くないのでは?という話です。
次回は
私が一番課金したタイプのお話(ガチャじゃないよ)。最初は効率よく利益を上げられるのでは?と思ったのですが、予想以上に工数がかかり副業アプリ制作者には向かないかな?とも思ったのですが、良い機会なので記事にまとめようと思います。
twitterを本格的に初めてみた。ブログの更新記事をつぶやくのがメイン。あとCocos2dやUnity、その他アプリ開発に関連するツイッターの方をフォローして情報も集められたらなぁと思います。
— 柳澤@ゲーム作るよ (@designdrill) 2015, 12月 28