4.3リジェクトとコンテナアプリ

投稿者: | 2017年12月28日

今年を振り返る(1)

今年は技術的な勉強に時間を割いたので、アプリ制作の環境について考えませんでした。ですが印象に残っていることが2つあり、考えをまとめておこうと思います(年末ですし)。まずはアップルの4.3リジェクトとコンテナアプリについて。

 

4.3リジェクト

appStoreにアプリを出すにはアップルの審査が必要なのですが、似たようなアプリを多く出すとスパムと判定され審査が通りません。

公式サイトを確認すると飽和状態のカテゴリへの参入についても書かれています。人気カテゴリだと、自分のアプリが少なくてもリジェクトされる可能性があるということでしょうか?

Apple公式サイト: 4.3 スパム

同一のアプリケーションに対して複数のバンドルIDを作成しないでください。飽和状態のカテゴリにアプリケーションを追加することは避けてください。

わたしが参入した2014年にも判例があったのですが数は少なく目立ちませんでした。ですが今年は人気カテゴリである「脱出ゲーム」で多くの判例があり本気で対応する必要性が高まりました。


2014年くらいにスコアブック系のツールをスポーツ毎にリリースしていた方がブログで嘆いていたのを覚えています。

google検索結果: 4.3 リジェクト

googleでの検索結果にリンクします。多くの方がブログなどに情報や意見を載せてくださっています。

わたしも弾幕ゲームを複数リリースしているので対応を考えているのですが、それは年始に各予定の「今年の抱負」で書こうと思います。ここでは、4.3リジェクトの回避策であるコンテナアプリが及ぼす影響について考察したいと思います。


以下、少しネガティブな意見から始まりますが、最終的には大きなメリットがあると結んでいきます。

 

コンテナアプリの印象

コンテナアプリとは複数のコンテンツをまとめたアプリで、脱出ゲームでも数例あります。以下のサイトで開発者の方がインタビューに答えているのですが、とても興味深く参考になります。


以下の例以外ではiOSの「FUNKYLAND Escape Games」が2017.12/19にリリースされています。

sqool.net様: ゲーム開発者インタビュー

脱出ゲームのコンテナアプリ「Escape Rooms」をリリースしたナカユビ・コーポレーションの真意とは?

インタビューでは苦戦している様子がうかがえます。シンプルな脱出ゲームは短期間でクリアされ、クリア後にすぐにアンインストールされます。私自身、このルーチンになれているためコンテナアプリには抵抗を感じました。要因は「インストール」と「通知」です。


FUNKYLANDさんのコンテンツはまだリリースされたばかりで追加コンテンツのダウンロードや通知は経験していません。

アプリをインストールした後でデータloadingが始まるのはソシャゲに良くある仕組みですが、脱出ゲームを含むカジュアルゲームを遊ぶ層には抵抗がありそうです。インストールしてすぐに遊べるのがカジュアルゲームの良さなのに、データの読込でさらに待たされるわけですから。


appStoreのような大規模サーバーと異なり、データは普通?のサーバーにあるためかDLに結構時間がかかる印象。

ソシャゲ見たくloading画面に何かコンテンツを見せたりすると良さそう?

これは個人的な嗜好なのですが、私は通知が嫌いなので脱出ゲームにかかわらずゲーム系アプリの通知はすべてOFFにしています。カジュアルゲームは空き時間にAppStoreで探してDLする(能動的)ことが多いので、通知でDLを促される(受動的)と鬱陶しく感じてしまうのです。

しかし通知バッジの仕組みは好きです。


そういえばAndroid8には通知バッジっぽい仕組みが導入されたそうです。

→参考:Qiita – Android 8.0新機能:「通知ドット」を実装してみた

 

ユーザーの囲い込み

前項でのネガティブな要因は仕組みとして馴染む前の抵抗なので、本質的なネガティブではないと思っています。逆にコンテナアプリがユーザーに馴染み始めるとコンテナ化されていないアプリは苦境に立たされる気がするのです。

日本でのiOSシェアは高いのでAppleの方針に不服があったとしても、コンテナアプリなどの対応をする開発者/開発会社は増えていくと思います。なので充分にコンテナアプリが行き渡った未来を想像してみました。

スマホを覗くと、お気に入りのゲームの通知バッジには数字がたくさん。わざわざappStoreに探しに行かなくても済みます

appStoreでアプリを探すよりも、通知バッジの消化を優先する人の方が多いのではないでしょうか?(以下の画像は通知バッジを加工したものです)

1227_04

ということで、コンテナアプリの普及はappStoreを訪れる頻度を下げると思うのです。すると困るのは新規参入者やコンテナ化していないアプリ開発者でアプリへの自然流入は減ることになるでしょう。

そういった方々が、コンテナアプリの開発者にADリンクをお願いする時代が来るかもしれません。


下図はEscapeGameの例で、現状は自社コンテンツへのリンクです。しかし将来的には他社広告をのせるビジネスも成立するのではないでしょうか?。コンテナアプリを作成しコンテンツを募集するような元締め会社等も登場するかもしれません。

1227_05
 

開発者から見たコンテナアプリの課題

私も脱出ゲームを作っていこうと考えているのでコンテナアプリが普及する前にコンテナアプリを投入しなければ!と若干焦っています。

弾幕ゲームは参入者が少ないので、まだ時間的な猶予はある印象。

コンテンツ削除への誘導

なので朧気に頭の中で設計しているのですが、データの管理に悩んでいます。コンテナアプリはコンテンツが追加されていくためファイルサイズがどんどん大きくなっていきます。

ファイルサイズが大きいとスマホの空き容量が少なくなった際に削除される可能性が高くなります。なのでコンテナアプリではコンテンツ毎にデータの削除も可能になっているのですが、この「削除という操作」に抵抗があります(単体の脱出ゲームの削除は躊躇ないのに)。心理的な要因なので、誘導の仕方次第で改善できそうなのですが、良い案が浮かびません…。

コンテナアプリが普及したら、そんなことで悩む必要もなくなると思いますが。

ダウンロード

やはりロード時間は気になります。バックグラウンドでデータをロードして完了してから通知する…ということは可能な気もしますが、常駐アプリですよね?そうなると。それはそれで抵抗あります…。

アプリのidle時にデータをダウンロードすることは可能ですが、それだとアプリを起動しているときにしかダウンロードできなくて本末転倒な感じもするし…。新コンテンツのダウンロードも悩みどころです。Google検索「ios idle background download

ともあれ勉強

コンテナアプリが普及する前にAppleが規制を弛めることもありそうですが、コンテナアプリ制作の知識は色々と役に立ちそうなので勉強していく予定です。

 

あと、今回の件とは微妙に異なるのですが、過去に囲い込みについての記事を書いています。何かの参考になればと思います。

アプリ開発:個人制作での囲い込み戦略

事業では業績を安定させるには顧客の囲い込みが重要になります。それに倣ってアプリ制作でも囲い込み戦略をすることにしました。

アプリ開発:囲い込み戦略

サーバー系の知識に乏しいので記事のようなことが可能なのかは分かりません。もし可能なら大手制作会社と小規模開発者との棲み分けも薄くなっていく気がします。


 

次回

GooglePlayで新着に「非常に」アクセスしにくくなったり、iOS11のappStoreの変更にともなう影響について考察したいと思います。可能なら年内に書き上げたいけれど年を越えるかもしれません…。

(おしまい)

 


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