離脱率を下げる
前回の記事の続きです。報酬系が「攻め」の手法なら、離脱率を下げるのは「守り」の手法でしょうか。ここでの離脱率は「プレイヤーがゲームを自分には向かないと判断しアンインストールする割合」とします。どうしたらアンインストールされるのを防げるのでしょうか?。
前回同様にターゲット層はアーリーアダプターとします。個人開発者も大抵はこの層だと思います。
学習コストは低く
カジュアルゲームでは説明書を読まずに遊べることが重要だと思います(もちろんチュートリアルも無し)。プレイすべきゲームが大量にあるアーリーアダプターは、覚えることが多い「面倒」なゲームを避けると思うのです。避けるというか説明書を読まずにプレイして「何これ?良く分からない…」とアンインストールする感じでしょうか。
しかし読まれないとしても説明書は用意しておいた方がよいでしょう。
ちなみに下図は「スライムクライム」というアクションゲームで、ステージ上に注意点や操作のヒントを描いています。上手い手法だと思います。
あと定番カテゴリのゲームにはデファクトスタンダードな操作方法があるので、それに従いましょう。例えば「ランゲーム」は制作者が異なっても操作方法がほとんど同じだと思います。
しかし、アーリーアダプターは学習コストの問題ではアンインストールまでには至らないと考えています。即アンインストールの原因になるのは次に紹介する「操作感」だと考えています。
操作感
私がゲームを離脱する1番の理由が操作感です。ここでいう操作感とは「プレイヤーキャラを思い通りに操作できているという感覚」とします。いやいや..思い通りに操作できるのは当たり前でしょ!と思うかもしれませんが、スマホのゲームで以下のような経験をしたかたは多いのではないでしょうか?
・えっ!ジャンプボタン押したじゃん、なんでジャンプしないの!!
・あっ!上じゃなくて右に行きたかったのに!!
・フリックの反応が悪いよ!
・なんか反応悪くない?キャラがちゃんと動かないよ!
・タッチした場所に移動しないじゃん!
・連打してるのに!…ちゃんと反映されてないじゃん?
コンシューマ機のようなコントローラーがあれば上記の問題も発生しないと思うのですが、スマホだと仕方がないのかな…とも思います。上記の原因は以下のような所でしょうか?
・ボタンが小さくて押し損ねていた。 → ボタンを大きくしよう。
・間違って隣のボタンを押してしまった。 → ボタンの間隔を広げるorレイアウトを再考。
・斜めにフリックしてしまっている。 → 多少斜めでもOKにする。
・そもそもキャラの移動速度や動作が遅い → 移動速度やアニメを再考。
・壁に当たると停止する仕様 → 壁を避けて目的地まで移動させる。
・そもそも連打するゲームではない → …UIを変更する?
次々回にレビューする予定のアプリが操作感の説明に都合がよいので、この操作感については別の記事で実例を上げながら説明しようと思います。とりあえず色々な人にテストプレイしてもらい「様子を観察する」のが大切だと思います。
新着ランキングでDL数が多いアプリを観察していると、「脱出系」や「クリッカー系」「ランゲーム系」など、定番カテゴリのため操作系が確立されているものが多い印象をうけました。弾幕ゲームもそうですがカテゴリによってはデファクトスタンダードな操作系があるので、それに合わせるのが無難なようです。このことは前項の「学習コストは低く」にも有利に働くでしょう。
ゲームオーバーの理由
難しくてもゲームオーバーの原因がハッキリ理解でき「こうすれば回避できそう」とプレイヤーに思って貰えるなら、高頻度でゲームオーバーになっても問題はないと思う(死にゲーというジャンルがあるくらいですし)。
逆に言うと「ゲームオーバーの理由がランダム性の高いもので、プレイヤーが回避方法を想像できない」ゲームでは離脱率が上がると思う。序盤の数回のプレイで「こうすれば攻略できそう」と思えるような難易度設定がよいと思う。序盤は「簡単すぎる」方が良いかもしれません。
どんなゲームでも難易度調整は本当に大変…。弾幕ゲームでも制作時間の8割以上が攻撃パラメータの調整です…。
短時間でクリアできる
これはステージ数を少なくするのではなく、ステージは多くても細切れにするのがよさそう。例えば5ステージだけのゲームで「早くクリアできそう」と予感させるのではなく、100ステージあるけど、1ステージ1分でクリアできるから「早くクリアできそう」と予感させるとか。
実際に短期間でクリアできる必要はないと思う。100ステージクリアしたら「新章突入!」と100ステージを追加して継続率をアップさせるのはアリだと思います。以前書いた記事も参照してください。
ゴールデンウィークの少し前から個人開発者さん達のアプリが続々リリースされ、勉強のために次々とダウンロードしていったのですが…。
あと「図鑑」とか「コレクション」といったもの(安直に継続率を上げるような仕組み)の重要性は少しずつ下がっていくと考えています。1つのアプリを賞味できる時間は短くなっていくので「お宝のコンプリートは面倒だな…」と感じさせてしまうかもしれません。
これに関しては私の性格的な要因が大きいかもしれません。私は収集欲が少なく、これまでに「何かをコレクション」した経験が無いので…。
アップデート禁止!
スマホゲームではバージョンアップの申請が簡単にできます。なのでゲームに不備があっても「あとでバージョンアップの時に対処しよう」と考えてしまうかもしれません。しかし、これは大きな損失になると考えています。
プレイされなくてもアンインストールされなければバージョンアップも有効でしょう。しかし「このゲームつまらないな」と判断したら即アンインストールしてしまいませんか?(特にAndroidはすぐにアンインストールできますし…)。アンインストールされたらバージョンアップのお知らせは届きません、ランキングで再び見かけても「私には合わないゲームだったな…」とスルーされてしまうと思います。
つまり、ここまで説明してきた「学習コスト」や「操作感」に関しては最初から完璧な状態にしてアップロードすべきだと思うのです。バージョンアップで許されるのはステージ追加など「楽しみを追加する処置」くらいだと思います。
大手ソーシャルゲームなら「多少のバグ」でもアンインストールせずに様子見されると思うのですが、個人制作のカジュアルゲームでは「多少のバグ」も高確率でアンインストールにつながると思います。
もし「学習コスト」や「操作感」などで失敗したら、それらの修正と合わせて多少デザインを変更し、別アプリとしてリリースすることを検討した方が良いと思います。
その他
上記以外で私がカジュアルゲームを離脱した理由。
Breaker(前回紹介したブロック崩しのゲーム)
ステージがループした。もう新ステージは無いのか…じゃあ離脱しよう。テキストのみの簡単なシナリオっぽいものはループしないのですが、取り留めのない内容で「終わりはなさそう…」という感じがしました。
タップ・キングダム(クリッカー系)
ストーリーが進まない(ドラゴンが何か言い訳して逃げていくのを繰り返すだけ)。地下1000階まで到達しても話が進まないので離脱。
twitterを本格的に初めてみた。ブログの更新記事をつぶやくのがメイン。あとCocos2dやUnity、その他アプリ開発に関連するツイッターの方をフォローして情報も集められたらなぁと思います。
— 柳澤@ゲーム作るよ (@designdrill) 2015, 12月 28