今年を振り返る(2)
前回の続きで、今年印象に残ったことについての考察です。今回はストア(appStore/googlePlay)の構成が変わったことと、それによる影響について考えをまとめました。
少しネガティブな意見から始まりますが、最終的には大きなメリットがあると結んでいきます。
要約
ダラダラとした長文になってしまったので、最初に要約を書きます。ストア構成の変化によってカテゴリの明確でないアプリへの自然流量は減る。あなたのアプリのカテゴリは何ですか?
ストアのカテゴリだけでなく検索で利用されるようなカテゴリ(脱出/弾幕/クリッカー/タワーディフェンス等)も重要。
ストア構成の変化(googlePlay編)
以前のgooglePlayにはリリースしてから1ヶ月以内の新着アプリランキングがありました。しかし現在は廃止されました。ページ自体は存在しPCからのアクセスは可能です(以下)。
無料アプリと有料アプリの新着ランキングです。
現在のgooglePlayにも新着のタブはあります(下図左)が、リリース後一ヶ月以内という制約のないランキングになっています(Homescapeとかまで残っているし…)。下図右のPCからアクセスした一ヶ月以内の新着ランキングと構成が異なっているのが確認できます。
この変化に対して、巷の意見を調べようとググったのですが見つけることはできませんでした(もしかして今年じゃなく去年の変化?)。ともあれ、この変化は個人的にとても残念でした(理由は後で)。
でも「最近のリリース」というカテゴリは近いのかな?。結構スクロールしないと出てこないけど。
ストア構成の変化(appStore編)
iOS11でのappStoreの変化はメディアにたくさん取り上げられ話題になりました。
「ios11」と「appstore」で検索した結果を表示します。
ですが私は元々appStoreでアプリを探すことはなく、AndroidのgooglePlayで探していました。理由はappStoreの新着ランキングにはgooglePlayのようなリリース一ヶ月以内という制約はなく、ランキングの上位は大手の人気アプリが多く占めており流動性も低かったからです。そのため掘り出し物的なアプリに出会うのは難しいと感じていました。
ということで思い入れは薄いのですが、個人的に気になった変更点は以下のような感じです。Today以外はgooglePlayと似たような構成になったと思います。
旧来のランキングは継続して残っていますが、深い階層に押しやられアクセスしにくくなりました。
思い入れは薄い(しつこい)のですが、個人/小規模開発社にとっては以前よりも若干有用になった気がします。ここまではストア構成の変化を述べただけです。次項では「この」影響を考えたいと思います。
自分でアプリを探すのは時代遅れ
Amazonに追いやられがちですが、実店舗の書店にはAmazonにない魅力があります。目的もなく散策していると、意外な本と出会えることです。タイトルや装丁に惹かれて興味のない分野の本を購入してしまうことが楽しかったりします。
以前のgooglePlayの新着ランキングには同じような楽しさがあり、自分の好きなジャンル「以外」のゲームにもたくさん出会えました。現在のgooglePlayやappStoreでもAI的に判断された「あなたへのおすすめ」はありますが、今まで遊んだことのないジャンルのアプリを紹介してくれる頻度は低そうです。
これを補う為にappStoreの「today」やgooglePlayの「注目アプリ」などがあるのでしょう。アプリの数も昔と比べると莫大なので、自分で掘り出し物を探すような行為は時代遅れなのかもしれません。ここで愚痴っているのは私の感覚が時代に「キャッチアップできていない」だけな気もするのです…。
そういう人のためにユーザーに「掘り出し物を探している感」を感じさせるような仕組みがでたりするかも?。次項の大量のおすすめカテゴリもその一環な気がします。
大量のおすすめカテゴリ
ともあれAIが「意外」なアプリをオススメすることは「現状」では難しいので、それを補う為か、「おすすめ」のカテゴリが多数登場しました。下図のように昔の傾向と最近の傾向での細かいカテゴリ分けも存在しています。
アプリの増大により、掘り出し物の「アプリ」を探すことから掘り出し物の「カテゴリ」を探す方が現実的なのかも?
ストアカテゴリではサブも意識
カテゴリはストアカテゴリ(アクション/パズル/シミュレーション)と検索カテゴリ(脱出/弾幕/TD)で性質が異なるので分けて考えていきます。まずはストアカテゴリから、これはアプリを登録する際に開発者が自己申告するカテゴリで、googlePlayでは下図左のようになっています。
以前のgooglePlayではカテゴリ毎のランキングを表示していただけですが、現在では上図右のようにサブカテゴリに分類されて表示されます。上図左は「アクション」のサブカテゴリで「ガンシューティング/ジャンプアクション/格闘アクション」などが表示されます。
人気のサブカテゴリに組み込まれれば露出が増えて自然流入が期待できそうです。逆にサブカテゴリに分類されにくいアプリは苦戦しそうです。
appStoreではサブカテゴリも開発者が申告できるのですが、googlePlayでは申告できません。AI的に判定されカテゴライズされているのかな?
検索カテゴリの重要性
今年リリースした脱出ゲームで検索からの流入がとても多いことを確認できました。
図はプロダクトページの閲覧数なのですが、一番多いのはAppStoreでの検索でした。
前項で紹介したようにオススメの仕組みも充実しているのですが、それでもアプリの数は脳が捌ききれないほど多いのでしょう。多くの方は自分の好きなカテゴリを検索してアプリを探しているような気がします。
まったく根拠のない想像なのですが、多くのユーザーは以前に増して保守的な嗜好になっている気がします。アプリ数が増えたのでアプリを探す労力が増したため、検索で自分の好きなカテゴリに限定して労力を抑えている感じです。
加えて、前述したように掘り出し物のアプリを発掘することも難しくなりましたし。
そのため脱出ゲームやクリッカーなどのビッグワード(検索数が多いキーワード)に人気が集中し、それ以外のアプリは内容にかかわらず自然流入は期待できなくなります。
今年も多くのアプリがリリースされましたが、カテゴリが明確でないため検索では辿り着けず自然流入は少なそうなものも多そうです。これは時代が悪そうな気もします(時代について行けない人間の愚痴です)、たとえば昔ブレイクした「武器投げRPG」も今の時代でのリリースだったら埋もれていたかもしれません。
思いの外「にゃんこ大戦争」にはまったので、似たようなアプリを探したところに出会ったのが「武器投げRPG」でした。
対策とか色々
今のところ私が作成したいアプリは「弾幕」と「脱出」だけで、これらはすでにカテゴリとして人気のため対策の必要はありません。しかし、それ以外のカテゴリにも参入したくなるかもしれないので対策っぽいことを考えてみました。
人気カテゴリに便乗する
例えば前述の「武器投げRPG」であれば、タワーディフェンスのカテゴリで検索されるようにASOを工夫すればよいと思います。ASOの悪用は逆効果になりますが、武器投げRPGはタワーディフェンスといっても良いと思います。
そういえばタイトルに含まれる「RPG」もビッグワードですね。
ニッチを探す
人気カテゴリに便乗できないあぷりであれば、ニッチが近くにないか探すのも手だと思います。私の参入している「弾幕」もニッチなカテゴリです。しかしニッチは人口が少ないので利益を出すには「課金」などのマネタイズが必要な気がします。
自分に合ったニッチを見つけることで生き残る確率を上げられる気がします。
ASOを頑張る
従来ASOは検索ランクを上げるためのテクニックでしたが、今後はおすすめカテゴリに組み込まれるためのテクニックにもなっていくと思います。
あのカテゴリは人間が振り分けているのではないですからね。
おしまい
それでは皆様、良いお年を!
twitterを本格的に初めてみた。ブログの更新記事をつぶやくのがメイン。あとCocos2dやUnity、その他アプリ開発に関連するツイッターの方をフォローして情報も集められたらなぁと思います。
— 柳澤@ゲーム作るよ (@designdrill) 2015, 12月 28
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